15、農業を取巻く基準・規範・法律  (平成28年4月12日)

 農業を事業として経営していくために遵守すべき法律としては、食料/農業/農村基本法、食品安全基本法、食品衛生法、農薬取締法、環境基本法、廃棄物処理法、安全衛生法等がある。 これらの法の下で管理された、日本の農産物等は、世界に安全・安心なものとして、信頼されているのだろうか。 各国とも、自国に輸入する食品に関しては、それなりの基準で、水際で厳しく管理しているようだ。 現在でも、原発の事故の関係で、東北からの食糧品の輸出に関しては厳しい状況が続いている。 日本も規定に則り水際での管理は厳しく行っているので、残留農薬が規定以上の数値のため輸入できないものもあるようだ。
  日本の農産物は、先にあげた各種法により守られているのか、市場に出回る農産物に関しても安心・安全とされているが、基準内といえども、多くの農産物は、消毒や、化学肥料の使用によって少なからず影響を受けている。 生産効率を上げるためには、有機無農薬の生産方式では、価格的に対応できず、せいぜい、減農薬で栽培するのが精いっぱいであろう。 それでも、農家が自分の処で消費する作物には、家族の健康を気遣い、無農薬で栽培するケースも多い。 地元で頑張る中堅の或る農業法人は徹底して有機栽培にこだわって栽培していて、それなりの評判で、特定の顧客を獲得している。 しかしながら、苦労も多く、有機栽培のため、害虫や病気が発生して作物自体が収穫できないばかりか、周りの畑にも、害虫や病気が広がり、近隣から締め出されるケースもある。

 食品のアレルギー等に敏感な方々は、無農薬やオーガニックの食品を求めて、それなりに気を配っておられるが、一般的には、それほど気にかけずに、新鮮さや、味を頼りに買い求めるケースが殆どである。 量販店のバイヤーの方に、売り場で無農薬、オーガニックの商品を集めて販売したらと勧めたこともあったが、それにこだわる消費者はマイナーなのか、あまり乗り気にならなかった。

 日本で買い求める食品に関しては、通常、我々は安心して買い求め、消費している方が大半であるが、グローバルな世界が進展しているなかでは、どこの地域にいても、常に、世界中からの食料品を口に入れることになる。 世界のどの地域の方も安心して食べられる食品かどうかが判断できる基準は必要であろう。 日本の有機JAS認定もその一つといえるが、これはグローバル・スタンダードとはいえないわけで、最近、日本の生産者が気にし始めたのがG-GAP(グローバルギャップ)即ち、海外での農業生産管理基準である。 これは、農業のISOに似たもののようで、農業生産のトレーサビリティーを管理するもののようだ。 どこまで、これが広がるかは推測しがたいが、世界の大手の小売業態が、GAPに関して取り組み始めていることを考えると、農業生産者としても関心を持たざるを得ない状況になりつつある。 特に2020年東京オリンピックが開催されることになって、多くの国々から来られる外国人に日本の食品の安全性を明示するにはGAPしかないのではと考え始めている。生産から販売までの過程で、流通・物流も絡んでくるに違いない。

2016年04月12日