05、農業で若者は食べていけるのか? (平成27年8月1日)

 高知の生産者のK氏は、数年前から高知県の特産物であるニラをフィリピンで生産を開始し、すでに近隣諸国に販売している。先日、日本向けの航空便、船便の輸送方法や価格について相談を受けた。 フィリピンで生産してみると、一年中温暖で適度の雨量もあり、むしろ高知よりも優れた環境にあり、生産や出荷に携わる人件費がかなり安くなるために、輸送費次第では日本に輸入しても価格や品質でも十分勝負できる見通しとのこと。 このような状況が展開している中で、日本の農作物の生産地はどのようにして生き残っていくのか? すなわちそこに若者が就労して生きていけるのかを真剣に考察せざるを得ない。

 私も、高知県に農業法人を立ち上げ、若者25歳と27歳を正社員として受け入れることにした。 一人は埼玉県からのIターンで就労してくれることになった。 心強いのは、若者二人の農業へのやる気である。 然しながら,やる気だけでは安定した収入や利益は簡単には確保できないのが農業である。 夏場にたとえ苦労して、立派な、ニラやねぎを生産して出荷したとしても、想定した値段で販売できるとは限らない。 夏場には首都圏に近い産地が大量に出荷することもあり販売価格が大幅に低下することが通年である。たとえコストを割っても生産したニラは出荷せざるを得ない。 生産者は少しでも高く売りたいと、農協や卸売市場の前日の価格を見ながら、あれこれ模索する。 小売店に直接販売するか、長中期(週決め、月極め、年間値決め)に加工品として出荷するか頭の痛いところである。 最近は、予測できない天候の変化がさらに生産者を追い詰める。 農産物は天候に左右されることが多く、長期に一定量の出荷を約束できない。 加工業者と契約して出荷数量が不足すれば違約金の心配もある。  

 このように見てくると、若者を受け入れる環境にするにはかなりの努力と工夫が必要である。 現在大切な経営上のパートナーである、長野県のきのこの生産者S氏は、奥様と子供さん4人が、父親の仕事に参加して見事に日常業務(生産・販売の一切)をこなして、順調に経営を伸ばしておられる。 従って、若者が元気に農業に従事し、将来に希望がもてる企業がないわけではない。 農家や農業法人が健全に発展し、若者を受け入れられる環境を継続して維持改善するためには、経営者の弛まない努力と英知が必要なことはいうまでもない。

2015年08月01日