52、土佐三原村「どぶろく特区」  (平成30年2月13日)

 土佐は自然が豊かで、のんびり過ごせるところが多い。 先日、土佐の各地を回って、地元の方々と交流しながら、暮らしや、地元経済の活性化等に関して、発表、懇談する会に誘われ、初めて三原村を訪問することができた。
 三原村は東西に広がる高知の中でも、足摺岬に近く、高知市内からでも車で西に3時間ほどかかる位置にある。 『三原村で暮らそう!』とうたっているパンフには、日本の原風景があり、自然とともに生きていて、確かに遠くて、不便だけれど、村の住民たちは、人と人との繋がりを大切にし、自然に逆らわず、旬の食材を手間ひまかけて、昔ながらの「食」の文化や日常の営みなどを守って暮らしている。 以前、どこにでもあった日本の原風景がここにあると。
 周囲を山々に囲まれた標高120メートルに広がる山村は、美しい山々から湧き出る清水に育つ美味しいお米がとれ、高知県でも古くからうまい米どころとして有名です。 そして、大地の恵みであるお米を食べ、お酒を造り、祭りや祝い事に飲んでいました。 しかし、戦後酒造禁止となり、濁酒は製造禁止になりましたが、六十数年が経ち、村は「どぶろく特区」の許可を得て伝統のその味を復活させています。 自然発酵でひとつひとつが手作業により、じっくりと丹精を込め造られ田稲作農家のどぶろくは、真心溢れる味わいが楽しめます。
 今回開催された会場は、三原村農業構造改善センターで、三原村集落活動センターもあり、食堂や売店、交流の場所等が完備されている。 夕刻に予定していた学習・交流会が終了すると、地元の子供たちの踊りも披露され、間もなく、隣の部屋では地元の方々が用意してくれた宴会場に沢山の料理が持ち込まれ、村長も参加され和やかな懇親パティーが開始された。
 近隣、宿毛や四万十市等からも関係者が集まり、一通りの挨拶が終わると、思い思いにグラスに飲み物を注ぎ乾杯。 すでに濁酒が7種類持ち込まれていて、私も早々と濁酒の飲み比べを始めた。米農家7軒のおかみさんたちが、真心込めて手作りした濁酒は。農家食堂,「青空屋の元代」、農家民宿風車の「風喜」、農家民宿森本の「嫁っこ桂」、農家民宿NOKOの「清流」、農家食堂つめの「川平郷」、農家民宿今ちゃんの「椿姫の伝説」、農家民宿くろうさぎの「こぼれ雪」。飲み比べるほどに酔い、しまいにはどれを呑んでも美味しく、味比べできなくなっていた。
 宴会が終わりになると、風車の宿のおかみさんが迎えに来てくれて宿に案内してくれた。 どうやら、今夜の食事も濁酒も、この7件の女将さんたちが用意してくれていたらしい。 風車には仲間3人が通され、しばらくの間、囲炉裏を囲んで三原村の空気と夜を味わっていた。 やはり、宿には濁酒が用意されていた。
 翌朝も宿から、朝食場所まで車で移動して、心のこもった朝ご飯を頂いた、味噌汁も独特の味わいで、お代わりもいただいた。 一泊二日の三原村の滞在中は、地元の方々の暖かい心優しい人情に触れ、日本の原風景の中で暮らしぶりに感銘を受け、いつまでもこの豊かな触れ合いは心に残ると感じた。 やはり旅の楽しさや価値は、人と人との触れ合いにあると、今更のように噛み締めることになった。

2018年02月13日