77、人形浄瑠璃文楽(安田町講演) (平成31年3月21日) 

 今日の話題は、高知県の西部地区安田町に生まれ、大阪文楽に明星と輝いた「六世竹本土佐太夫の軌跡展」が、「安田町まちなみ交流館」で昨年から今年の三月末まで開催している。人形浄瑠璃文楽の講演を、地元の友人を誘って見に行った。
 出演者は語り歌い上げる、太夫と三味線の奏者それに、人形を操る方々で構成されていて、私にとってじっくり鑑賞するのは初めてであった。
 演目は、「壷坂観音霊験記」の「沢市内より山の段」で休憩を挟んで二幕、約一時間半の講演であった。あらすじは、奈良の壷坂寺近くに住む、お里・沢市の夫婦、目の不自由な沢市は、女房お里の手内職を頼りに細々と暮らしている。そんな折、毎夜お里が明け方に家を抜け出しており、もしや浮気をしているのでは....との思いから「ほかに好きな男ができたんじゃないのか」問い詰める沢市、お里は、沢市の目が開くよう壷坂観音へのお参りに通っていたことを打ち明ける。沢市は誤解をわび、その夜、共に壷坂観音にお参りに出かけることにした。参詣を済ませ、お里を先に家に帰らせた沢市は、愛する妻の足手まといになっては申し訳ないと、谷底へ身を投げる。沢市の亡骸を発見したお里も、悲しみのあまり後を追って身を投げた。そこへ現れた観音様の御利益により、二人の命は助かり、沢市の目も開いた。お里の献身的な愛情が奇跡を起こす文楽には珍しいハッピーエンドの演目である。
 人口減少の高知県で安田町は、中芸に位置し、人口2,500人ほどの小さな町であ。講演には、近隣や県各地、県外を含め600名ほどの来訪者で会場は一杯だった。ここ安田町は、黒潮あらう太平洋に面し、町の中心部を流れる安田川流域に広がる清流の町である。下流の平野部は、温暖な気候と自然環境に恵まれ、施設園芸発祥の地として発展し、ナスやミョウガ、トマトなどが盛んに栽培されている。また、黒潮の恵みの海の幸や上流の魚梁瀬杉を生かした製材業、清らかな伏流水を利用した醸造業など、商工業の町でもある。
 清流安田川は鮎釣りのメッカで、流域にはキャンプ場も整備し、シーズンには多くの観光客でにぎわう。神峯山には、四国霊場27番札所などがあり、安田町の自然と歴史、文化を散策することができる。
 私が感じるのは、地元の人たちが幸せに暮らしているということだ。60キロの道のりを車で走って会場に着いたが、友人以外にも狭い高知ゆえに何人かの知り合いに合うことができた。特に、狭い地域だけに、人と人の繋がりが強いと感じるのと、昔から独特の文化の香りを感じることができる。この町は、うたい文句に「やすだ時間」といって、ゆったりと過ごせる感じが伝わる。この地域は、安田町や田野町、奈半利町を中心に、北川村、馬路村を合わせて五つの町と村で独特の魅力を感じることができる。
 物流の話になると、高知県は東西に長いので、多くの農産物が栽培されているのだが、やはり、物流がネックになっている地域でもある。この地域の皆様とも、物流・流通の改善案を検討しているところである。

2019年03月21日